作品至上主義

日々観た映画、読んだ本、観劇した舞台の感想を残すためのブログです。

「コンテンツの魅力 ぼくがジブリで考えたこと」川上量生著

 

 

2017年4月20日読了

アニメ畑ではない筆者がジブリ入社によって、

「コンテンツとはなにか?」を考察した、という内容ではあるが、

筆者のIT出身者らしい考察(ディープラーニングなどを絡めた)よりも、

宮崎駿氏、高畑勲氏をはじめとするジブリの人々の言説が興味深い。

アニメーター大塚伸治氏や、

背景美術 男鹿和雄

などジブリ人物図鑑の様相が面白い。

逆に、本書の「まとめ」は、後半やや性急に感じられるし、

ジブリの人々の言説に比べ「弱い」と思える。

それにしてもスタジオジブリの特異性、

アニメーションスタジオとしての、

完成度の高さに唸る思い。

だからこそ個人的には、

宮崎駿の引退後、ジブリのアニメ制作部門を解体させてしまった

鈴木敏夫氏に対して許せない思いがある。

まあ、それは本書には関係ない話ではあるが。

 

 

「読書術」加藤周一著

2017年4月5日読了

1960年代の流行新書。1990年代に岩波書店にて文庫化された本作。

「本を読むこと」(時には「読まないこと」も含めて)について、

縦横無尽な考察が展開される。

元々が流行新書での刊行だったためか、

その豊富な知識とは裏腹に軽妙に読み進めていけるのが特徴。

「遅く読む」の次に、「早く読む」と来たり、

一見矛盾するようでありながら、

外国語の書籍や新聞の読み方に至るまで、様々な「読書」を提示してくれる。

 

読書術 (岩波現代文庫)

読書術 (岩波現代文庫)